シンガポールに現地採用で転職するのはリスクが多いと不安を抱えている人も多いのではないでしょうか?あるいは、現地採用で仕事を探してみたいけど、どんな仕事があるかわからない、という人もいると思います。
私は社会人3年目で日本からシンガポールに現地採用で転職しました。当時は、ワークビザ(シンガポールではEP Employment Passという)取得には最低月給3800ドル(日本円約38万円)という規定があり、新卒で日本企業に就職した私は「給与アップ」で転職することができました。
そして今現在(2023年1月)、ワークビザの最低賃金は$5000(約50万)、金融セクターの場合は$5500(約55万円)にまで高騰しており、今後ますます高くなる可能性もあります。
つまり、シンガポールに現地採用で転職する場合、少なくとも年収約600万は達成できる計算になります。大手企業で現地採用で働く日本人は年収1000万以上稼ぐ人もいます。
シンガポールの会社に転職して移住を希望する人は、現地採用以外にも駐在のポジションもありますが、私は現地採用でシンガポールにきて、とても充実した生活に満足しています。
すでに5年もシンガポールにいますが、駐在だったらすでに日本に帰国を余儀なくされていたはず、、
これからシンガポールで転職したいという方は、ぜひ現地採用も一つの選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。実際にシンガポールに現地採用で転職してみてわかった感想をリアルにお伝えします。
目次
シンガポールに現地採用で転職したリアルなコメント
駐在と比較して、シンガポールに現地採用で転職してよかった点は、現地での滞在期間を自分で決められることが最も大きいのではないでしょうか。私は、最初に2年間のワークビザを手に入れ、その後延長して合計5年います。まだまだシンガポールにいたい!と思い、つい最近、もう3年分のビザを延長しました。駐在の場合は、終わりが決まっているので会社に帰国のタイミングを委ねることになるので、どうしてもシンガポールに残りたい場合には、退職して現地採用で仕事を探す人もいました。
次に、駐在員の業務内容と現地採用の業務内容は異なるケースが多いです。駐在員は現地組織のマネージメント業務や、日本オフィスとの橋渡しの役割がメインになることが多いですが、現地採用の場合には、特に日本人としてではなく経験や専門性で転職する場合には、日本の案件を必ずしも担当するわけではありません。
シンガポールの生活は便利で豊な一方、2022年にはシンガポールはニューヨークと並んで世界で最も生活コストが高い国として評価されました。つまり、家賃、食費、医療費などが日本や他国と比較しても極めて高いです。従って、十分な収入を稼がなければ、シンガポールで生活することは大変に思えるでしょう。
駐在であれば、家賃のほとんどを勤め先が負担したり、家族や子供がいる家庭であれば教育費用などの手当もあります。しかし、一般的に現地採用では福利厚生はほとんどありません。従って、金銭的に悩むことも多いです(一方、金融やテック系、コンサル系など手当の厚い会社もあります。これについては後述します)。シンガポールは高価な国ですから、金銭に余裕がある暮らしは羨ましいですよね。
シンガポールに現地採用で転職したわかったメリット
シンガポールに現地採用で転職するメリットを4つ挙げました。
①長期的にシンガポールに滞在する選択肢がある
上述したように、自分でシンガポールの滞在を延長をするか決められること。駐在の場合2〜3年で帰国される方が多いですが、多くの駐在員の方が慣れてきたところで帰国を強制され、残念ながら渋々帰国される姿をたくさん見てきました。現地採用の場合、自分の人生を自分で決められるので、シンガポールに残るか帰国するか選択の自由があります。また、永住権(Permanent Residence)の申請もできます。
②税金が少なく手取りが多い
シンガポールは所得税が少ないことで知られていますよね。例えば2022年の時点で、シンガポールで年収900万の場合、税率は10.9%で、約98万円の所得税が発生します。一方、同じ年収が日本では、税率が24.5%で約220万円が所得税で支払わなければなりません。日本は2倍以上も高いです。
また、シンガポールで外国人がワークビザで滞在する場合、社会保険や国民年金といったものがないので、実質、税金は所得税(+消費税)しか支払わないので、ほとんどが手取りとして入ってきます。日本では将来年金が給付されるかわからないので、今のうちに貯金をしておきたいですよね。
③英語力を活かせることができる
シンガポールは多国籍国家で、英語の他に中国語、マレー語、タミル語が使用されていますが、基本的には英語が話せれば仕事にも生活にも支障はありません。グローバルに展開する企業も多くあるので、英語がビジネスレベル以上できれば、現地採用で転職できます。
④駐在員よりも求人数や職種・業界の種類が多い
駐在員のポジションは数少ないです。シンガポールのコストは年々高くなっていることや、日本のシンガポール法人も現地化を進めていること、シンガポール政府が国民の採用を優先すべきと働きかけをしていること、などが理由として挙げられます。
一方現地採用の場合は、経験とスキルがあれば、幅広い職種に応募ができます。シンガポールは人口550万人の国ですから、人材が不足しています。特に日本のテック系やデジタルマーケティング系、医療系などは国が積極的に促進しているので、外国人も現地採用で就職しやすいです。
シンガポールに現地採用で転職したわかったデメリット
①家賃手当がない
シンガポールでは一般的に家賃手当がありません。シンガポール国民も基本的に家賃手当がありません。家賃の高いシンガポールでは、もし一人でシンガポールに移住するのでは、ルームシェアをすることが主流です。1部屋で家賃は800ドル(約8万円)〜2500ドル(約25万円)くらいです。もし1LDKなどを借りたい場合は、2500ドル(約25万)以上はします。従って、現地採用の場合は、住居に苦労することがあります。
②福利厚生が少ない
シンガポールは家賃の他に、医療費や学費も高価です。医療費用の補助については会社ごとに福利厚生が異なるので、気になる方は採用企業や転職エージェントに事前に確認しておくと良いでしょう。
※現地採用は、福利厚生が少ないイメージがありますが、手厚い企業もあります。GoogleやFacebookなどのテック会社の福利厚生は安心してシンガポールで生活できると、現地採用組から聞いています。
シンガポールに現地採用で転職がおすすめな人
以下の人には現地採用をおすすめしたいです。
- 独身で自由に住む場所を選べる20代〜30代
- できる限り早く海外に移住したい人
- 会社のルールに縛られずに自由に将来の人生を選択したい人
- 専門スキルが現地で活かせる人
- 自らキャリアアップを築いていきたい人
シンガポールに現地採用で転職をしない方が良い人
以下の人には現地採用はあまりおすすめできないかもしれません。
- 子供と一緒に家族で移住したい人(学費や家族の保険、住居など出費が多いので、別の収入が安定していなければ、現地での負担が大きくなります)
- 福利厚生や給与面で安定を一番に求めている人(職種や業界によっては異なります)
- 英語でのコミュニケーションに抵抗がある人
シンガポールに現地採用で転職をする方法
日本人がシンガポールで現地採用の転職を成功させるためには、以下のいずれかのポジションを狙うことになります。
①日系企業やローカル企業で日本とシンガポール(海外)をつなぐ役割
駐在出なくても、大手の日本企業のシンガポール支社で日本人を現地採用していたり、ローカル企業で日本のパートナーやクライアントとコミュニケーションが必要な場合などで日本人を現地採用することがあります。
この場合、日本の文化を理解していて、日本語を使ってコミュニケーションができることが武器になります。帰国子女ではない、英語がネイティブではない人は、このポジションが狙い目です。日系企業で就業経験があれば、その経験が価値になります。日本チームとシンガポールチームの間をつなぐポジションなので、文化の違うシンガポール現地のスタッフやクライアントと、コミュニケーションが柔軟にできることが大切です。
②専門のスキルを活かして国民・他国の外国人労働者と対応の役割
日本人としての強みを活かすのではなく、該当する業界知識や専門スキルで、地元の人材や他の優秀な外国人労働者と対等のポジションで、現地採用を目指す場合です。例えばシンガポールの場合は、デジタルマーケティング、金融業界、仮想通貨、ヘルスケア業界などの分野で経験のある方は、経験やスキルを活かせる可能性が高いです。この業界は、シンガポールが注力をしている分野であり、かつ、国内の人材が不足しているからです。
上記の①〜②ポジションに転職するためには、以下の方法があります。
①直接企業に応募する
企業サイトやLinkedInの企業ページから、英語レジュメを直接送る方法です。大手企業だと、レジュメが埋もれてしまう可能性があるので、採用担当者に目につくようなレジュメ作成が必要になるでしょう。企業側からすれば、人材会社を使わずに直接採用できれば、人材会社に支払うコストを削減できるので、レジュメがマッチしていれば有利になる可能性もあります。
②人材会社を通じて応募する
人材会社は採用会社をクライアントとして何社も抱えており、採用会社の求める人材像や課題を理解しています。従って、人材会社を通じて転職活動をすることで効率よく仕事探しができます。クライアントの採用担当と親しい人材会社であれば、すぐに面接を設定しれもらえるでしょう。レジュメにもフィードバックをしてくれます。
③学生であればインターンから始める
シンガポールは新卒採用、という制度がありません。従って、シンガポールで就職をしたい学生はインターンシップから始めることをおすすめします。シンガポールの大学に留学している学生は、長期休暇の間にシンガポールの会社にインターンシップをして経験を積んでいます。日本の学生であれば、シンガポールでインターンシップをしている間に、就職活動もできます。
シンガポールで転職する方法は、別の記事でもまとめています。
いかがでしたでしょうか?現地採用について不安を感じている人も多いかと思います。しかし、実際に転職してしまえば、なんとでもなるものです。私も転職ではじめてシンガポールに来ましたが、今では第二の故郷となりました。もしまだ不安を抱えていたら、まずは人材会社に相談することをおすすめします。また、私のTwitterでも現地の情報を定期的に発信をしているので、ぜひフォローしてみてください!